
体力は減った。
でも今、この家には、
つーちゃん……オギャー!
夜中、つーちゃん(娘)の泣き声で目が覚める。



来たな
レッサー(旦那)が、目を閉じたままつぶやく。



来たね
私はすでに半分起きている。



腰が……



それ毎回言うよね



事実だからな
ベッドから起き上がるまでに、三呼吸。
若い頃なら一瞬だった動作が、今はイベントだ。 抱っこすると、つーちゃんはさらに泣く。



なんで泣いてるの?



分からん



お腹?



さっき飲んだ



オムツ?



替えた



……ベッド?
布団に移した瞬間、泣き止む。



え、止まった



ほらな



なにそれ



布団派



あなたじゃん



遺伝だな
レッサーは、なぜか誇らしげだ。



俺もベッド無理だから



それを誇る人、初めて見た
しばらくすると、今度はお風呂。
湯船につけた瞬間、つーちゃんがにこっと笑う。



見た?



見た



完全に俺だろ



どこが?



風呂入ると機嫌良くなるとこ



確かに、あなたもそうだった



な?



悔しいけど似てる
私はつーちゃんの顔を覗き込む。



でも顔は私だよね?



うーん……



ちょっと待って、その間は何?



今は半々



半々って便利な言葉だね
レッサーが笑う。
その笑い声に、つーちゃんも釣られて声を出す。



……体力、落ちたよな



落ちたね



昔ならオール余裕だった



今は夜中に起きただけでHPゼロ



でもさ
レッサーがつーちゃんを見つめる。



家、にぎやかになったな



うん



泣き声あるの、嫌じゃない



分かる
少し沈黙。



体はキツいけど



心は?



……満たされてる
私はその言葉に、少しだけ泣きそうになる。



体力は減ったね



減った



でも、家族は増えた



確実に
つーちゃんが、安心したように眠りにつく。



寝た



寝たね



……この顔、ずっと見てられるな



見てなよ
二人で、しばらく黙って眺める。
体力は減った。
でも今、この家には、
それ以上に大切なものが増えている。



よし



なに?



次泣いたら俺が行く



ほんと?



……多分
「子供はいらない」そう思っていた・・・




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