
妻優しいから大好き。旦那優しいから大好き。旨いものは夫婦仲を救う!
夫婦喧嘩。
それはどんな家庭にもある日常のスパイス――と言いたいところだけど、我が家の喧嘩はだいたい“しょうもない”理由から始まる。

ゴミ出してって言ったよね?



え、明日や思ってた



今日やし!
……で、空気がちょっとピリッとする。
でも、その日の夕飯がテーブルに並ぶころには、カピー(妻)の表情はすでに穏やか。
なぜなら――目の前に「コロッケ」「唐揚げ」「エビフライ」があるからである。 カピーは根っからの食いしん坊。
機嫌が悪くても、おいしい匂いを嗅いだ瞬間に脳内のスイッチが“ごきげんモード”に切り替わる単純仕様。



さっき怒ってたのに、もう笑ってるやん
とレッサー(旦那)は呆れる。



え? だって、唐揚げカリカリなんだよ? 怒ってる場合じゃないでしょ



いや、知らんけど……
喧嘩中だろうが、食卓には“仲直りの魔法”がかかる。
そして、食べ進めるうちに恒例の譲り合いタイムがやってくる。



最後のコロッケ、レッサー食べて



いや、カピーが食べ。好きやろ?



うん、好き。でもレッサーが食べたら嬉しい



いや、どっちやねん!
お互いの“思いやりバトル”は止まらない。
やがて、レッサーが観念して言う。



じゃあ、うにといくら、カピー食べていいで



ほんと!? え、でもいいの?



いいよ。俺はその“うまっ!”て顔が見たいねん
――ああ、やっぱりこの人、優しい。
その瞬間、カピーの心の中では「また好きになっちゃった」ランプが点灯する。
レッサーもまた、そんなカピーを見ながら思う。
“怒ってても、笑ってても、食べてる時が一番かわいいな”と。
たぶんこの夫婦、喧嘩のたびに好きが増える。
それは理屈じゃなく、唐揚げの匂いみたいに自然に心にしみ込んでいく。 最後のひとくちを分け合いながら、カピーは笑う。



ねぇ、喧嘩ってカロリー使うから、結果的にごはんがおいしいんだよ



……そんな前向きな理由、初めて聞いたわ
そして、二人はまた笑いながら、平和な食卓を囲むのだった。
こんな些細なことでいいの?お互い離れられない夫婦


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