
誰かに似てる。
カピーまた投げた。
ポイッ。
知育おもちゃが床に転がる。
拾う。
ポイッ。
また転がる。
……エンドレスである。
もちろん赤ちゃんだから普通だ。
投げて、音がして、拾ってもらって、また投げる。
全部遊び。
頭ではちゃんと分かっている。
でも今日は、ふと違うことを考えてしまった。



あれ?
投げる前の顔。
なんか考えてる。



ここに投げたら音が鳴る。



もう一回やってみよう。
そんな実験してるみたいな顔。



……待って。
この「まず考えてから行動する感じ」。
誰かに似てる。
私はそっと旦那を見る。
布団でくつろぎながら、



それには理由があるねん。



理屈で説明するとやな。
と言いそうな顔でテレビを見ている。



あっ。



レッサーや。
昔からこの人は理屈っぽい。
私が「今日疲れた」と言えば、



疲れには原因があってな。
説明開始。



このお菓子おいしい。
と言えば、



甘さのバランスがな。
また説明。
何でも理屈。
何でも分析。
本人は親切。
でも、たまにめんどくさい。



まさか……。
ーー数年後。ーー



ママ、それは論理的に違う。



理由を説明すると。



つまりね。



いやぁぁぁ!
理屈っぽい人が二人になる未来が見える。
父と娘が向かい合って、



論点が違う。



いや、本質はそこじゃない。



まず前提条件を整理しよう。
……うるさい。
絶対うるさい。
私は横で味噌汁をよそいながら、



もう好きにして。
って言う未来しか見えない。



神様。
お願いです。
笑うところ。
優しいところ。
賢いところ。
そこは全部レッサー似でもいい。
でも理屈だけは……。
理屈だけは私に似てください。
そんなことを考えていたら、
旦那が不思議そうにこっちを見た。



なぁ。



ん?



なんで泣いてるん?
ほら。
全然分かってない。



つーちゃん転んだ?
違う。



眠たい?
違う。



俺なんかした?
……その鈍感さは健在か。
私は苦笑いしながら首を振る。
説明しても、この人はきっと理解できない。



あなたに似た理屈っぽい子がもう一人増える未来を想像して泣いてた。
なんて言ったら、
きっと真顔で、



でも理屈は大事やで。
って返ってくる。
ほら、もう始まる。
私は深いため息をついて、おもちゃを拾う。
その横で旦那は、つーちゃんが投げたおもちゃを見つめながら一言。



この投げ方には意味がある気ぃする。



やっぱりか。
私は心の中でそっと叫んだ。



神様、やっぱり理屈っぽいのは、一人で十分です。
たまにめんどくさい旦那(苦笑)







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