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切迫早産の入院で脱走しようとした妻

もう入院なんて耐えられない!
カピーの叫びが病室に響いた。涙で濡れた目が、白い天井を恨むように見上げている。



カピー……落ち着いて。あと少し、あと少しだから
レッサーは震える声で言う。だが自分でも、その「少し」が果てしなく遠いことを知っていた。



少し? 四ヶ月だよ? 窓の外にすら出られないのに、どうやって耐えろって言うの!
カピーはシーツを握りしめ、全身で訴える。



脱走してやる!
そう言って立ち上がった瞬間、看護師が慌てて駆け寄った。



だめです、安静にしてください!
その腕に制止され、カピーは力なく崩れ落ちる。
レッサーはそばに駆け寄り、手を握った。



ごめん、俺、何もできなくて。でも……君を一人にはしないから



……本当に?
涙を浮かべて彼を見つめるカピーに、彼は強くうなずく。



毎日来る。花も持ってくるし、絵本だって読む。外の空の色だって全部伝えるよ。だから……一緒に、乗り越えよう
カピーの目に、ほんの一瞬だけ光が宿った。
それは、絶望の中に残された小さな希望だった。
まさか、ほんとうに4ヶ月入院とは思っていなかった妻。
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