
「ねえ、もう一回行こ?」
映画館を出た瞬間、私はまだ物語の中にいた。
カピー胡蝶さーん!善逸ーーー!
と心の中で叫びながら、余韻に浸る。
画面の美しさ、音の迫力、すべてが完璧だった。



めっちゃよかったな〜
と隣を見ると、旦那はすでに“満足した人の顔”をしている。



全然長いと感じなかったわ。あっという間の2時間半やった
うん、それは同意だ。だが問題はそこではない。
“あっという間”=“足りない”なのだ。



もう一回行く?
と軽く言ってみる。
旦那の顔が一瞬で曇る。



いや、もう十分やろ
十分?今のが?
まだ序章みたいなもんやろ、という気持ちをぐっと飲み込む。
だが私は知っている。
この気持ちは一回では終わらない。むしろ、ここからが本番だ。



DVD買ってね
さらっと言ったつもりだったが、旦那は「ゲッゲッ」と露骨に引いた顔をした。
だが、その反応も想定内である。
なぜなら——
無限列車編は、すでに買わせているからだ。



あれは別やん!
と旦那は言うが、何が別なのか私にはさっぱりわからない。
好きな作品は何度も観る。それだけの話だ。



復習は大事よ?
そう言うと、旦那は遠い目をする。
たぶん彼は、“一回で満足できるタイプ”なのだろう。
そして私は、“何回でも楽しめるタイプ”。
どちらが幸せかと聞かれたら——
答えは明白である。
帰り道、私は次に観るタイミングを考えていた。
平日か、休日か、席はどこがいいか。
隣では旦那が静かに財布を気にしている。
でも大丈夫。
これは浪費ではない。
“感動の再投資”だ。
そして私は、きっとまた言う。



ねえ、もう一回行こ?
旦那の「ゲッゲッ」という声を聞きながら、
私は今日も、推しに会いに行く準備をしている。
大人になってここまでハマったのは鬼滅の刃だけ









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